「リチウムイオン電池」は、私たちの暮らしにとても密接した電池で、さまざまな家電製品やレジャーアイテムなどに使われています。
しかし、加熱による発火事故が後を絶たず、大事故に発展してしまったケースも少なくありません。
記憶に新しいのが「ホバーボード」です。
日本では「バランスホイール」などと呼ばれているこちらの2輪車は、乗った状態で体重のかけかたを調整することで、自在に移動できる画期的なスクーターですが、これに使用されているリチウムイオン電池が相次いで発火事故を起こし、一部の施設や航空会社ではホバーボードの持ち込みが禁止となりました。
そのほかにも、タブレットやカメラなどの電化製品においてもリチウムイオン電池による加熱や発火の恐れがあることが発覚し、リコールとなってしまった製品はなんと数1000にも上るそうです。
リチウムイオン電池は効率よく電気を送ってくれる便利な製品であるものの、その安全性については大きな課題となっていましたが、最近アメリカの大学にある研究チームが、炎上しないリチウムイオン電池を開発したとして話題となっています。
今回発表された炎上しないリチウムイオン電池は、電池が加熱する状態は避けられないものの、加熱する前に機能を停止し、安全な温度まで下がったら、また機能を開始するというもの。
機能を再開した後も電池の機能が低下することはないそうなので、すぐに従来の使用を再開できるというのは実に画期的ですね。
これまでも、安全に使用できる充電池の開発には、多くの研究チームが心を砕いてきました。
リチウムイオン電池に使用されている液体の物質を、固体の物質に変更することで発火しにくい状態にしたり、同じ物質に難燃剤を加えることで発火しないようにするなど、さまざまなアイディアが出ていましたが、それでも加熱してしまった場合に、その電池は使えなくなってしまうというリスクがあり、市場に登場するまでに至らなかったそうです。
しかし、今回開発された「発火しないリチウムイオン電池」が商品化されれば、危険な状態まで加熱するという事態すら起こらず、また電池も長く使用することができるので、大きな問題解決につながります。
コードレスの電化製品がどんどん開発されている現在に、充電池の存在は不可欠で、電化製品を生産しているメーカーでも、もしリチウムイオン電池が発火したときのためにさまざまな対策をとっているようです。
より安全に使用できる今回のリチウムイオン電池が発売されれば、私たちも安心していろいろな電化製品を利用できます。
今後の研究の成果に期待しましょう。